横浜市の分譲マンション事情~エリア別の特徴・老朽化・管理状況を解説~

1. 住環境の特徴
横浜市は広域にわたり多様な住環境を有しており、マンションの立地条件も地域によって異なります。特に、交通利便性の高いエリアでは鉄道駅周辺にマンションが集中する傾向があります。
都心部の特徴
JRや私鉄各線が集まる横浜・桜木町・関内エリア(西区・中区)には高層マンションが多く、オフィスや商業施設が近く利便性が高いです。みなとみらい地区のようにタワーマンションが集積する地域もあり、単身者や共働き世帯からの人気が高いです。
郊外の特徴
田園都市線・東横線沿線(青葉区・港北区)や横浜市営地下鉄沿線(都筑区)では、大型マンション団地と緑地が共存する計画的な住宅地が広がっています。特に港北ニュータウンでは公園や遊歩道が整備され、ファミリー層に人気のある閑静な住宅街が形成されています。
教育・買い物環境
- ファミリー層の多いエリアでは学校数が充実し、通学環境が整備されている。
- 都心部はデパートや商店街が身近にあり、郊外でも主要駅前に商業施設が立地しているため、買い物に困らない。
自然と景観
海沿いの金沢区には八景島や海の公園があり、開放的な景観を楽しめます。緑区・青葉区・栄区などの丘陵地帯では里山の緑が残され、四季折々の自然を感じることができます。また、中区の山手地区では高台に高級住宅地が形成され、港を一望できる眺望の良いマンションもあります。
総合的な住環境
横浜市のマンション居住環境は「都市的利便性」と「良好な住宅環境」が両立しており、各エリアの特色(交通・教育・商業・自然環境)に応じて、多様なライフスタイルに対応できる住まいが選択できます。
2. マンションの地区別の組合数・棟数・戸数と特徴
横浜市内には分譲マンションが約6,774棟存在し、総戸数は約45.3万戸に上ります。これは2018年時点で横浜市内の全住宅の約24%を占めており、市民の重要な居住形態となっています。
マンションの分布は地域によって大きく異なり、都心部と郊外部で特徴が分かれます。
マンション棟数の多い地域
たとえば、マンション棟数が特に多いのは港北区(784棟・42,808戸)や鶴見区(680棟・39,508戸)など鉄道沿線の市北部です。
マンション棟数の少ない地域
逆に瀬谷区(62棟・3,960戸)など市境の郊外区域では棟数・戸数ともに比較的少なくなっています。
都心部の特徴
横浜市の中心部にあたる西区・中区には大規模なタワーマンションが林立し、分譲マンションの平均階数も8階前後と高くなっています。特に西区のみなとみらい地区はハイグレードなタワーマンションが立ち並ぶエリアとなっており、都心の利便性と眺望の良さから人気を集めています。
郊外ニュータウンの特徴
一方、郊外ニュータウンとして開発された都筑区では平均戸数が100戸と市内で最も大きく、棟数(229棟)は少ないながらも大規模団地が多いことが特徴です。栄区も平均戸数107戸と大規模で、広い敷地にゆとりあるマンションが多く見られます。
全体の傾向
総じて、都心部・湾岸部のマンションは高層化・大規模化が進む一方、郊外部では中低層で比較的小規模なマンションが多い傾向があります。それぞれの地域特性に応じてマンションの規模や数には明確な違いが見られます。

3. マンションの建築年数とその特徴
横浜市のマンションは築年数にも偏りがあります。市内の分譲マンションは昭和40~50年代(1965~83年頃)に大量供給されており、築40年以上のマンションは現在約6.4万戸に達しています。
築年数の構成
市が実施した調査によれば、1983年以前に建築されたマンション(いわゆる高経年マンション)の内訳は以下の通りです。
- 1970年以前竣工:14%
- 1971~1975年竣工:23%
- 1976~1980年竣工:28%
- 1981~1983年竣工:35%
なかでも昭和50年代初頭に建てられた物件が特に多いことが分かっています。
横浜市のマンションの平均築年数
このため、横浜市のマンションの平均築年数は約25〜30年程度で、全国平均と比べても高齢化が進んでいます。
築年数による特徴
- 築年の古いマンション:エレベーター未設置の5階建て物件があるなど、構造上の古さが見られる。
- 平成以降に開発された地域(例:都筑区):平均築年数17年と新しい物件が多い。
老朽化への対応の重要性
近年、1990年代のバブル期前後に建設されたマンションが築30年を超え始めており、築年数の経過に伴う老朽化対策がますます重要となっています。
実際、築40年超マンションは今後30年で約34万戸へと急増すると見込まれ、横浜市のマンションストック全体が一斉に高経年化する時代を迎えつつあります。

4. マンションの戸数の分布とその特徴
マンション1棟あたりの戸数規模も多様です。小規模マンション(30戸以下)は全体の約46%(563件)にのぼり、そのうち6~10戸程度のごく小規模物件も全体の6%を占めます。都市部には数十戸未満の小規模マンションも珍しくありません。
大規模マンションの割合
一方で、超大規模マンション(1棟あたり501戸以上)はわずか2%(22件)にとどまり、数百戸規模のマンションは市内でも限られた存在です。
横浜市のマンション1棟あたりの平均戸数
横浜市内のマンション1棟あたり平均戸数は約67戸で、首都圏平均とおおむね同程度ですが、地域によってばらつきがあります。
地域ごとの戸数の特徴
- 都心臨海部:タワー型マンションが多く、100戸以上の物件が多い。
- 郊外:数十戸規模の中小規模マンションが主流。
最小・最大規模のマンション例
- 最小例:法的管理組合設置基準の6戸。
- 最大例:
- 金沢区「レイディアントシティ横浜」(総戸数1,805戸)
- 栄区「ガーデンアソシエ」(1,502戸)
戸数分布の傾向
戸数分布は両極端まで幅広く、市全体としては小規模物件が多いものの、地域によっては大規模マンションがランドマークとなっているケースもあります。
平均的には中規模(50~100戸前後)が最も多い傾向ですが、戸数規模に応じて管理上の課題も異なるため、それぞれの特性に合わせた管理運営が求められます。
5. マンションの老朽化の状況とその特徴
横浜市ではマンションの老朽化が着実に進行しており、建物自体の経年劣化と居住者の高齢化という「二つの老い」に直面しています。築40年以上経過したマンションは現在約6.4万戸にのぼり、今後30年で約34万戸へと急増する見込みです。
老朽化による劣化の具体例
老朽マンションでは以下のような劣化現象が見られます。
- コンクリートのひび割れ
- 鉄筋の露出
- 外壁タイルの剥落
劣化が進行すると、周辺住民や通行人への落下事故リスクも懸念されます。
老朽化対策の実施状況
多くの管理組合は定期的な大規模修繕工事で老朽化対策に努めています。市の調査結果によれば、回答のあったマンションの96%が大規模修繕工事を実施済みで、未実施はわずか4%(15件)でした。
未修繕マンションの特徴
- 未修繕のマンションはすべて50戸以下の小規模マンション。
- 規模が小さいほど資金面の問題などで修繕が先送りされがち。
耐震性の課題
築年の古いマンションでは、耐震性の問題もあります。特に1981年の新耐震基準以前の建物は耐震改修が必要ですが、改修には多額の費用や所有者間の合意が求められます。
住民高齢化による管理の課題
- 管理組合役員の担い手不足。
- 高齢化による判断力の低下。
- 適切な維持管理の継続が難しくなるケースの増加。
今後の展望
横浜市では専門家派遣や資金支援策(後述)を講じていますが、将来的に建て替えや用途転換を検討するマンションが増える可能性があります。

6. 管理組合および管理状況
6.1 管理組合の設置と運営形態
横浜市の分譲マンションでは、区分所有法により管理組合の設置が義務付けられています。実態調査によると、正式な管理組合を持つマンションは全体の92%にのぼり、残り8%は自治会的な住民組織や個人オーナーが管理するケース、または管理組織が存在しないケースです。
- 6~10戸の超小規模マンションでは管理組合が未整備なケースが多い。
- 中〜大規模マンションではほとんどが管理組合を組成し、規約整備や年次総会を実施。
管理形態は管理会社への委託か自主管理のどちらかに分かれます。小規模マンションほど自主管理が多く、100戸を超えるマンションでは管理会社に委託する割合が高くなります。例えば、6~10戸のマンションでは約60%が自主管理ですが、100戸以上では自主管理の割合は一桁に低下します。
6.2 管理費の徴収と財政問題
マンションの管理費は、ほぼすべての分譲マンションで徴収・積立が行われています。調査では、横浜市のマンションの97%が毎月管理費を徴収しており、残り3%は年払いなどの方式を採用しています。
- 6~10戸の小規模マンションの8%では管理費を徴収せず、都度精算方式を取る例もある。
- 大規模マンションでは管理費を活用し、清掃・設備点検・事務管理などを実施。
管理費の金額は物件の規模や提供サービスによって差があります。例えば、都心のタワーマンションではコンシェルジュなどのサービスを含めて管理費が高額になりやすいのに対し、郊外のエレベーターなし物件では管理費が低めに抑えられる傾向があります。
しかし、一部のマンションでは管理費の滞納が問題となっています。滞納が長期化すると、修繕や管理サービスの実施に支障をきたし、他の区分所有者の負担増につながる恐れがあります。そのため、管理組合の財政健全化が課題となっています。
6.3 長期修繕計画の状況とその特徴
横浜市内の分譲マンションでは、多くの管理組合が将来の大規模修繕に備えた長期修繕計画を策定しています。市の調査では、修繕積立金を積み立てているマンションは全体の95%に達しており、大半の物件で計画的な修繕が進められています。
- 修繕積立金を「積み立てていない」マンションは5%(37件)にとどまり、その多くが6~10戸の小規模マンション。
- 小規模マンションでは、必要な時に費用を負担する都度精算方式が取られることもある。
長期修繕計画の課題として、過去に積立金額を過小に設定していたケースがあり、大規模修繕時に資金不足が発生する例も見られます。その場合、積立金の値上げや一時金徴収が必要となり、区分所有者の負担が増大する懸念があります。
横浜市では、標準的な修繕サイクル(約12年ごと)や積立計画の見直し支援を行い、管理組合が適切な資金確保をできるようサポートしています。今後、築年数の増加に伴い想定外の修繕費用が発生する可能性があるため、計画的な積立の継続が求められます。
