富士見市の外壁診断~老朽化マンションの現状と修繕の必要性を解説~

はじめに
埼玉県富士見市では、近年、マンションの高経年化が進んでいます。市内には160棟のマンションが存在し、そのうち築40年以上の高経年マンションは56棟・1,542戸にのぼります。これは全体の約3分の1を占める規模であり、老朽化に伴う修繕や建て替えといった大きな課題が目前に迫っている状況です。
こうした背景のもと、富士見市は2024年4月に「富士見市マンション管理適正化推進計画」を策定しました。この計画は、国の改正法(令和2年施行)に基づき、市が主体となってマンションの管理適正化に取り組むためのものです。
マンションは個人の集合財産でありながら、居住者全体の意思統一と長期的視点による管理が不可欠です。しかし、管理組合の役員不足や高齢化、無関心によって、実質的な管理不全に陥る例も少なくありません。
本記事では、富士見市が明らかにした現状と課題を整理しつつ、この局面においてマンション管理士が果たすべき役割を明確にしていきます。単なるアドバイス役にとどまらず、現場に根差した課題解決型の専門職として、管理士がどう支援すべきかを具体的に考察していきます。
市内分譲マンションの実態
富士見市のマンションストック状況
富士見市における分譲マンションは、令和5年1月時点で160棟が確認されており、マンション化率は12.6%。埼玉県全体の平均である13.5%と比べやや低く、県内市町村では19位という位置づけです。
マンションの築年数別では、以下のような傾向が見られます:
- 築40年以上:56棟(1,542戸)
- 10年後には約86棟、20年後には136棟が築40年以上に達する見込み
これは、20年後には高経年マンションが2.4倍に増加することを意味しており、放置すれば地域の居住環境や資産価値に深刻な影響を及ぼす可能性があります。
アンケートから見る管理組合の現状
富士見市は実態把握のため、令和5年5月に市内の119の管理組合等を対象にアンケート調査を実施しました。回答数は57件(回答率47.1%)であり、管理実態の一端が明らかになりました。
調査結果を基に、管理組合の基本的な運営状況を以下にまとめます:
- 管理組合の設置状況:96.5%が「あり」
- 総会の開催頻度:年1回以上開催している組合が98.1%
- 議事録の保管状況:98.2%が「保管あり」
- 管理規約の整備状況:98.2%が「作成あり」
- 管理人の有無:23.6%が「不在」
- 修繕積立金の徴収状況:96.5%が「徴収あり」
表面的には高い管理率が示されていますが、注意すべきは回答率が5割未満である点です。つまり残る約62件の管理組合は不明なままであり、実質的に「見えないリスク」として存在していると言えるでしょう。
さらに、アンケートにおける自由回答では、「役員のなり手不足」や「高齢化」「空き家・賃貸化の進行」など、持続可能な管理体制を揺るがす兆候が多く見られました。
このような状況下で、マンション管理士の専門的な関与が不可欠となってきます。次章では、こうした背景を踏まえて、修繕計画や積立金に関する実態をさらに掘り下げていきます。
長期修繕計画と資金計画の実態
マンションの持続可能な維持管理において、長期修繕計画の策定と修繕積立金の適正な運用は、いわば建物の“生命線”です。富士見市が実施したアンケートでは、こうした計画の有無と内容に関して、管理組合ごとの取り組みにばらつきがあることが明らかになりました。
まず、長期修繕計画の策定状況を見てみると、以下のような結果となっています:
- 策定済み:83.3%
- 作成予定または作成中:9.3%
- 未作成:5.6%
回答した組合のうち8割以上が計画を策定しているという結果は、一見すると良好なように見えます。しかし、これは回答した57組合の範囲での話です。全119組合のうち約5割は未回答であり、富士見市全体の策定率で見れば、わずか39.7%にとどまります。
つまり、「見える範囲では問題ないが、全体としては大きな改善余地がある」というのが実態です。さらに、長期修繕計画の中身については、大規模修繕の計画がなかったり、将来的な一時金徴収を予定していたりするケースも見受けられ、質の面でも課題を抱えています。
また、資金計画の柱となる修繕積立金については、以下のような状況が明らかになっています:
- 徴収あり:96.5%
- 徴収していない:3.5%
一見して高水準の徴収率ですが、徴収額が将来必要となる工事費に見合っていないケースもあります。修繕積立金が枯渇すれば、結果的に一時金の徴収や借入が必要となり、区分所有者間のトラブルや合意形成の困難を招くことになります。
さらに、市が設定した目標では、令和14年度までに長期修繕計画の策定率を70%に引き上げるとされていますが、現状ではその達成には多くの努力が求められます。
顕在化する管理不全リスクと要支援マンション
適切な管理が行われているマンションの背後には、可視化されていない管理不全リスクが存在しています。今回のアンケートで明らかになった57件の回答は、あくまで「積極的に回答できる、比較的管理状態の良好な組合」のものであり、残る62件の未回答マンションには潜在的な問題が存在する可能性が高いと市は分析しています。
市の資料では、このようなマンションを「重点的なフォローが必要な対象」として位置づけています。特に以下のような状況が確認されれば、管理不全の兆候と考えられます:
- 管理組合が機能していない(役員不在・総会未開催)
- 長期修繕計画が未策定
- 修繕積立金が徴収されていない、もしくは区分経理されていない
- 外壁や設備の劣化が進行しているのに対策が取られていない
こうしたマンションは、居住者の高齢化や所有者の不在化(賃貸・空室の増加)によって、管理の意思決定そのものが行われないという事態に陥るリスクを抱えています。
アンケートでも、管理上の課題として以下のような声が多く挙げられました:
- 高齢化:38.6%
- 組合役員のなり手不足:35.1%
- 非居住化(賃貸・空き家化):17.5%
このような状況は、単なる技術的な問題ではなく、組織的・社会的課題でもあります。管理不全が続けば、建物は急速に老朽化し、最悪の場合は安全性にも重大な影響を与える恐れがあります。
このようなリスクの芽を早期に発見し、改善への道筋をつけるためには、外部専門家の積極的な関与が不可欠です。次章では、富士見市が準備する支援策と、マンション管理士がどのように現場に関与していくべきかを詳述します。
富士見市が用意する支援策と管理士の介入ポイント
富士見市は、マンションの適正な管理を実現するために、「マンション管理適正化推進計画」に基づいた具体的な支援策を用意しています。特に、管理組合の運営が難航している物件や、修繕計画の策定が進んでいないマンションを念頭に置いたフォロー体制が強化されています。
まず、市が定めた施策の柱は以下の通りです:
- 管理状態の実態把握
- 区分所有者・入居者の意識向上
- 管理組合活動の促進
- 認定基準を満たすマンションへの支援
これらの施策は、管理士の専門知識と実務能力によって現場に落とし込まれることで、初めて効果を発揮します。たとえば、定期的なアンケート調査においては、未回答マンションへの訪問支援が必要です。市職員の同行支援が限られる中、第三者としての立場を持つ管理士が中立かつ専門的なアプローチを行うことで、管理組合との接点を築くことができます。
また、マンション管理に関する情報発信や啓発活動として、市は「埼玉県分譲マンションアドバイザー制度」や「長期修繕ナビ(マンションライフサイクルシミュレーション)」といった外部ツールの活用を促しています。これらを活用した勉強会・相談会の運営支援も、管理士の役割として期待されています。
さらに、管理状態が良好なマンションに対しては、「管理計画認定制度」の取得支援も行われています。この制度は、法に基づく一定の管理基準を満たしたマンションに与えられるものであり、資産価値や信用力の維持に寄与します。管理士は、認定取得の要件整理や申請書類の作成支援など、実務的なサポートを行うことで、管理組合の負担を軽減しながら制度活用を後押しすることができます。
このように、市の施策は制度設計の枠組みにとどまらず、実務支援と現場対応の担い手としての管理士の存在を前提としています。
マンション管理士が果たすべき現場での役割
マンション管理士には、これまで以上に現場介入型の役割が求められています。単に法令や規約を説明するだけでなく、組合内部のコミュニケーションや合意形成を円滑にする「媒介者」としてのスキルが重要になってきているのです。
富士見市のように高経年マンションが急増する地域では、次のような場面で管理士の実働が不可欠です:
- 管理組合の役員が高齢化しており、意思決定の停滞や後継者不足が生じている場合
- 修繕積立金の運用や見直しに関して、専門的な計算や将来試算が必要な場合
- 組合が機能不全状態にあり、外部専門家の指導なしでは再建が困難な場合
これらの課題に対して、管理士が提供すべきは「知識」ではなく実行支援です。例えば、長期修繕計画の策定支援においては、建築士や設備業者との調整を含めたプロジェクトマネジメント能力が問われます。また、外部専門家として中立的立場から財務状況をレビューし、積立金不足を解消するための段階的改定案を提示することも求められます。
さらに、マンション内の居住者間の認識ギャップや、所有者が賃貸化して遠方に住んでいるケースでは、合意形成に時間と労力がかかるのが実情です。このような場面で、管理士は当事者の利害を整理し、現実的な着地点を提示する「交渉ファシリテーター」としても機能しなければなりません。
今後は、マンション管理士に対して「相談対応型」から「課題解決型」への進化が求められます。つまり、現場の混乱や無関心に飲み込まれることなく、主体的に課題を特定し、ゴールへ導くための設計と実行を担う存在になることが理想とされるのです。
富士見市のような中堅都市での取り組みは、今後他自治体にも波及していく可能性があります。地域のマンションストックを守る最後の砦として、管理士が果たすべき役割は今後ますます重要性を増すことでしょう。
実際にマンションの課題を解決へ導くには、建物の現状を正しく把握することが出発点となります。特に外壁や防水層の劣化は、見た目では判断しづらく、専門的な診断を通じて初めてリスクが可視化される領域です。
相栄建総のサービスで資産価値を守る
相栄建総は、マンションの外壁診断・防水層診断を通じて、建物の現状を正確に把握し、適切な修繕計画を立案するサービスを提供しています。
サービスの特長
- 詳細な劣化診断
外壁や防水層の状態を専門的に調査し、劣化度を数値化して報告します。 - 住民や管理会社への分かりやすい説明
診断結果を報告書として提出し、修繕の必要性や優先度を明確にします。 - 適切な修繕計画の策定
予算やスケジュールを考慮し、最適な修繕プランを提案します。 - 信頼できる技術と実績
熟練の職人が施工を担当し、高品質な修繕を実現します。
提供するサービス内容
相栄建総では、以下の診断・修繕工事を行っています。
外壁診断
- ひび割れやタイルの浮き・剥落を調査
- コンクリート内部の劣化を点検
- 高所作業による細部の確認
防水層診断
- 屋上・バルコニーの防水層の劣化調査
- 目視点検および散水試験による雨漏り診断
- 防水層の耐久性評価と最適な補修提案
給排水設備診断
- 配管の老朽化や詰まりのチェック
- 漏水や水圧の低下が発生していないか確認
- 必要に応じた改修計画の策定
エレベーター・共用部の修繕
- エレベーターの老朽化状況の診断
- 階段・手すり・エントランスの劣化調査
- 照明のLED化や防犯カメラ設置の提案
費用と工事期間の目安
診断および修繕工事の費用や期間は、マンションの規模や劣化状況により異なりますが、一般的な目安は以下のとおりです。
サービス内容 | 費用目安(1世帯あたり) | 工事期間 |
---|---|---|
外壁診断 | 無料 | 約1週間 |
防水層診断 | 無料 | 約1週間 |
外壁補修 | 約80万円 | 3〜4ヶ月 |
屋上防水改修 | 約50万円 | 1〜2ヶ月 |
修繕積立金や補助金の活用により、費用負担を軽減することも可能です。
大規模修繕の流れ
相栄建総では、スムーズに工事を進めるために、以下のプロセスで大規模修繕を行います。
- 現地調査・診断
建物の劣化状況を詳しく調査し、問題点を特定します。 - 診断結果の報告・修繕計画の提案
診断結果を報告し、必要な修繕工事の内容や優先度を説明します。 - 住民説明会の開催
住民の皆様に工事の目的やスケジュールを分かりやすくお伝えします。 - 施工開始
外壁補修、防水工事、設備改修など、計画に基づいて修繕を進めます。 - 工事完了・アフターサポート
工事完了後の点検を実施し、長期的なメンテナンスのアドバイスを提供します。
よくある質問
診断だけでも依頼できますか?
はい、外壁診断や防水層診断は無料で実施しております。修繕が必要かどうか判断したい場合も、お気軽にご相談ください。
工事中の住民への影響はありますか?
足場の設置や工事の騒音が発生することがありますが、事前の周知や住民説明会を行い、影響を最小限に抑えるよう努めています。
修繕費用が高額にならないか心配です。
予算に応じた修繕計画を提案し、修繕積立金や補助金の活用方法についてもご案内します。
まずは無料診断をご利用ください
川越市のマンションでは、築年数の経過とともに建物の老朽化が進んでいます。安全で快適な住環境を維持するためには、早めの診断と適切な修繕計画が重要です。
相栄建総では、無料の外壁診断・防水層診断を実施しており、現在の建物の状況を正確に把握することができます。修繕が本当に必要かどうか知りたい方や、今後の修繕計画を立てたい方は、ぜひ一度ご相談ください。
お問い合わせはこちら
マンションの資産価値を守るために、早めの対策をおすすめします。無料診断やお見積もりのご相談は、お気軽にお問い合わせください。
