マンションの大規模修繕工事の費用相場は?内訳と費用を抑える方法を解説!

マンションの大規模修繕工事の費用相場は?内訳と費用を抑える方法を相栄建総が徹底解説!

 

本記事では、マンションの大規模修繕工事をする際の費用や内訳、また費用を抑える方法について解説します。
マンションは、日々雨風や日光を直接浴びているので、目に見えない箇所が劣化している可能性が高いです。そのため、定期的に大規模修繕を行う必要があります。大規模修繕は、建物の劣化や不具合などの補修を目的としており、怠っているといつの間にかマンションの資産価値を落としてしまうこともあります。
とはいえ、大規模修繕では工事費用として約数千万円が必要となりますので、事前にしっかりと資金を用意し、計画的に進めることが大切です。
大規模修繕について事前にしっかり把握しておけば、費用が足りなくなることも必要以上に費用をかけてしまうといったリスクもなくなるので、是非参考にしてみてください。

 

■1.大規模修繕工事にかかる費用相場は?

大規模修繕工事の費用は、一般的に一戸約75万円~125万円が相場だといわれています。
ただ、マンションの規模感によって修繕工事に必要な金額は異なるため、ある程度の費用を計算しておいて、毎月いくら積み立てれば良いのかを把握しておくと計画的です。
また、大規模修繕工事をコンサルタントに任せる場合は、別途コンサルティング費用がかかります。相場は工事総額の約5~10%です。たとえば工事に1,000万円かかる場合ですと、コンサルティング費用は約50万円~100万円前後となります。
費用は決して安くはありませんが、信頼できるコンサルタントに任せてしまえば、自分で施工会社に直接依頼するよりも総工事費が安く抑えられる、なんてことも珍しくはありません。
施工会社によるトラブルが起きるリスクも低くなるなど、コンサルタントに依頼することにはメリットがあるので、依頼する場合は、その分の費用も計算に入れておきましょう。

費用相場

 

■2.大規模修繕の工事別費用相場は?

『大規模修繕工事』といっても、どの工事にどれほどの費用がかかるのかをきちんと把握していれば、見積もりが適正価格かどうかの判断ができます。
大規模修繕で行われる工事は、築年数や建物の劣化具合によって異なります。そのため、大規模修繕工事でかかる費用もマンションごとに異なるということになります。
オーナー様自らが施工会社に依頼する場合などは特に、水増しした見積もりを提示されることも少なくありません。
工事の部分、内容ごとの費用相場を知らないと、見積もりを見ても適正価格なのか判断できず余計な費用を払ってしまうことになるので、損なく、適切な価格で大規模修繕を行なうためにも、工事別の費用相場を把握しておくことが大切です。

費用相場2

 

■2-1.外装塗装工事の費用相場

外装塗装工事の費用相場は、1㎡あたり3,000円~7,000円です。この相場に塗装する外壁の免責をかけた金額が、ご自身のマンションの外壁塗装工事における費用相場となります。
塗料のグレードによっても費用は大きく変わりますし、ラジカルやシリコン、フッ素といった塗料なら3,000円~4,000円/㎡が相場です。
しかし、セラミックや光触媒、無機塗料といった高級な塗料ですと5,000円/㎡以上かかってしまうケースも少なくありません。
また、外壁塗装工事の期間は、規模の小さなマンションであれば約1~3ヶ月程度で、50戸以上であれば約3~5ヶ月です。さらに大きなマンションでは、半年以上の期間を要する場合もあります。
まず塗装するマンションの範囲全体に足場を組み、高圧洗浄を行い、ひび割れなどの下地処理を施し、養生をすると、ようやく塗装工事が始まります。このように、塗装を始めるまでに複数の工程があるため、外壁塗装工事には時間がかかるのです。

■2-2.防水工事の費用相場

防水工事の費用相場は、防水の種類によって異なります。それぞれの費用相場は、以下のとおりです。

・アスファルト防水:約3,000円~6,500円
・シート防水:約3,000円~6,500円
・ウレタン防水:約3,500円~6,000円

どの工法を用いるのかはマンションによって異なりますが、一般的には「ウレタン塗装防水」を用いるケースが多いです。またバルコニーや共有廊下、階段部分は、防滑性塩ビの「シート防水」を用いることが多いです。
特に屋根は風雨や紫外線によって劣化が激しいので、必ず防水工事を施すようにしましょう。

■2-3.給水や排水関係の費用相場

給水や排水関係の工事の費用相場は、1棟あたり60万円~200万円です。戸数によって費用は変動するため、当然戸数の多いマンションほど高額になります。
給水や排水に使用するパイプは、耐用年数が20年ほどありますが、配管の交換工事には時間も費用もかかるため、大規模修繕の時期がきたら、特に不具合がない場合でも同時に交換しておくことをおすすめします。

■2-4.足場や飛散シートの費用

外壁工事に用いる足場や飛散シートは、1㎡あたり600万円~1,500円が相場です。ただし、足場の費用も種類によって変動します。大規模修繕で利用される足場は、主に以下の3種類になります。それぞれの特徴を、メリット・デメリットとともに解説していきます。

・枠組み足場
(メリット):設置場所を選ばない/強度が高くて安心
(デメリット):部材が多いためコストが高い

・ビケ足場
(メリット):耐久性・強度が高い/組み立て・解体が簡単
(デメリット):設置場所が限られる

・単管足場
(メリット):狭い場所でも設置が可能
(デメリット):工期がかかる/ほかの足場に比べて安全面で劣る

■3.大規模修繕の主な修繕箇所はどこ?

大規模修繕における主な修繕箇所は、以下のとおりです。

・外装・外壁
・マンションの廊下や階段部分などの共有部分
・電気・給水・防火などの設備
・屋上やバルコニー
・シーリング

大規模修繕費用の中でも大きなウェイトを占める修繕箇所になります。どのような修繕工事を行うのか、適切な工事なのか、事前にきちんと把握しておきましょう。
大規模修繕工事では色々な場所を補修しますが、各場所によって費用は大きく異なります。建物の種類や修繕内容などによっても費用は変動しますが、目安として参考にするとよいでしょう。

大規模修繕足場

 

■3-1.外装・外壁
外装・外壁塗装工事は、非常に多い修繕工事です。外壁の汚れを放置しておくと美観が損なわれ、資産価値が低下してしまうおそれがあります。
さらに劣化が進むと雨漏りなどを引き起こしてしまい、建物全体が傷むだけでなく、快適な住空間も奪われてしまう可能性があります。そのため、外装や外壁の修繕工事はしっかりと行なってください。
外装の修繕工事では補修や防水工事や洗浄を行うので、外壁工事と洗浄を一度に行なうと足場を組む手間が一度で済みます。そのため時間と費用を抑えられるのでおすすめです。

■3-2.マンションの廊下や階段部分などの共有部分
廊下や階段などの共有部分では、特に劣化した部分のみを修繕するのが一般的です。
しかし、共有部分とはエレベーターの修繕、駐車場設備、セキュリティシステムなども含みます。このように共有部分は修繕する場所が多いため、費用も時間も多くかかってしまう傾向にあります。
機器類の点検、補修では専門的な知識を必要とすることも多いため、専門業者に早めに相談しておくと安心です。

■3-3.電気・給水・防火などの設備
電気、給水、防火などの設備の補修も「修繕工事」に含まれます。これらの機器類にはそれぞれ耐用年数が決められているため、設置年数に応じて修繕や取り替えが必要です。
特に、防火設備はマンション火災を防ぐ大切な設備です。マンションなどの共同住宅での火災は大規模な火災に発展しやすいので、万が一の火災に備えられるよう、きちんと管理していかなければなりません。

■3-4.シーリング
「シーリング」とは、外壁やサッシの周りなどに充填される部材のことです。「コーキング剤」といった呼び方をする場合もあります。このシーリングも、雨や紫外線などによって徐々に劣化するため、修繕工事が必須です。
なお、シーリングの補修工事には以下の2種類があります。

・打ち替え工事
・打ち増し工事

「打ち替え工事」とは、既存のシーリング材をすべて取り去ったのち、新たに施工する方法です。
「打ち増し工事」とは、既存のシーリング材の上から補強するように施工する方法です。

使用するシーリング材や手間が抑えられるため、打ち替え工事よりも安い費用に抑えられます。状態的に劣化が進んでいる場合は、打ち替え工事を行なうケースが多いです。

■3-5.屋上やバルコニー
屋上やバルコニーこそ、日々の雨風で劣化してしまうので、定期的な補修が必須です。屋上やバルコニーは特に、雨漏りを防ぐための防水工事が行なわれることが多いです。
また、フェンスなど鉄製の部分は雨によって錆びてしまうので、錆の除去が行なわれることもあります。想像以上に劣化が進んでいる場合などは、錆びた箇所を丸ごと取りかえるケースも少なくありません。

■4.大規模修繕工事の主な流れについて

大規模修繕の相場

大規模修繕の流れ
大規模修繕工事の主な流れは、以下のとおりです。

①マンションの診断
②施工会社の選定・説明会
③工事・アフターケア

大規模修繕工事は、長期修繕計画に沿って進められます。しかし、何らかのトラブルや問題が起きてしまったときのために、オーナー様自らが大規模修繕の流れについて詳しく把握しておくことが大切です。
きちんと流れを抑えておくことで、なにかあった際も冷静な対応と判断ができます。

■4-1.マンションの診断
築10年、または前回の修繕工事から10年を目安に建物の調査・診断を行ない、マンションの劣化状況を確認しましょう。
国土交通省の「長期修繕計画作成ガイドライン」においては竣工から12年周期で大規模修繕を行なうことが推奨されています。
そのため、そこから逆算して10年を目安に建物の診断をしておくと工事がスムーズになるでしょう。年数のキリが良く、忘れにくいという点でも10年を意識することをおすすめします。
適正な工事を適正な費用で行うためにも、診断は重要な手順の一つです。
建物診断はマンション管理業協会などに申請すれば受けることができますが、実際にかかる修繕費用の負担はマンション側なので、しっかりと説明を聞き、納得してから進める必要があります。

■4-2.施工会社の選定・説明会
次に修繕工事を依頼する施工会社を選定します。ただし施工会社の選定をコンサルティング会社に任せる場合は例外です。
自ら施行会社を選ぶ際は、過去の施工実績に注目しましょう。施工実績のない会社を選ぶと、工事費用は抑えられても品質が水準に届かない可能性があります。
そのため、過去の実績、アフターサービスなどにも注目して選びましょう。
また施工会社が決まったら、工事内容やスケジュールなどを住民へ説明しなければなりません。工事内容によっては住民には不便な生活を強いてしまうケースもあるため、事前の説明は必須です。
トラブルを防ぐためにも丁寧な説明を心がけ、住民からの理解を得てから工事に取り掛かりましょう。

■4-3.工事・アフターケア
住民への説明を終えて、いよいよ工事が始まります。大規模修繕は、基本的に住民が生活しながら行なわれます。
工事によっては洗濯物が外に干せなかったり、騒音があったりと住民にとってストレスが溜まりやすくなるでしょう。
そのため、工事の進捗具合や終了予定などは、掲示板に貼り出して対応するようにしてください。
修繕工事が完了したら、予定されていた修繕がされているかどうかを確認します。施工の状況は次の修繕工事にも影響を及ぼすため、細かな部分も網羅的に意識的にチェックしましょう。
施工内容が問題なければ、入居者に工事完了の連絡を行います。このとき、工事に関するアンケートを実施することで、改善事項を次の修繕工事に反映できます。
また、大規模修繕が完了した後に不具合が発生する場合もあります。施工後の不具合が起きたらすぐに施行会社に連絡が取れるようにしておきましょう。

■5.大規模修繕工事の費用を抑える方法
大規模修繕の費用を抑える方法は、以下のとおりです。

・補助金や助成金を活用する
・施行会社に丸投げしない
・複数社の見積もりで比較検討する

大規模修繕には、数千万円という多額の費用がかかることも珍しくありません。しかし、抑えるところを抑えれば、費用を大幅に節約できます。
反対に、事前に知識がないと余計な費用を払ってしまうリスクが高まります。どういった方法で費用を節約できるのか、見ていきましょう。

■5-1.補助金や助成金を活用する
大規模修繕には、国や自治体が設ける補助金や助成金を利用できる場合があります。たとえば防音工事やバリアフリー化といった「マンションの長期優良住宅化」に該当する場合、支援を受けられます。
ただし、補助金・助成金の内容は自治体によって異なるため注意してください。マンションのある都道府県・市区町村にはどのような補助金や助成金があるのかを確認し、積極的に利用しましょう。
通常、大規模修繕の費用は住民から集めた修繕積立金でまかないます。しかし、補助金や助成金を利用できればマンション住民の負担を減らすことも可能です。

■5-2.施行会社に丸投げしない
施工会社に工事を一括して依頼する場合も、すべて丸投げするのは危険です。全てを任せるのではなく、オーナー自らも積極的に介入して工事について検討していきましょう。
たとえば足場を1つ取っても、工法次第で費用を抑えられる可能性があります。
こちらから指摘しない限り、あえて高い工法や部材で修繕される可能性もあるため、施工会社とはしっかりコンタクトを取って進めましょう。
なお施工を丸投げした場合は「談合」に注意が必要です。
談合とは、コンサルタント会社が施工会社と癒着し、工事費用を意図的に吊り上げ、見返りとしてバックマージンを不正に受け取る行為のことを意味します。
丸投げしてしまえば、調査から工事まで任せることができるので、管理会社の手間を省けます。しかし、第三者のチェックが入らないということで、費用が高額になることが多いので注意しましょう。
談合や相場よりもはるかに高額な請求を避けるためにも、修繕設計と工事を分離する設計監理方式で契約することがおすすめです。

■5-3.複数社の見積もりで比較検討する
複数の会社に見積もり依頼をして、適正価格の施工会社に依頼しましょう。複数の会社に見積もりを依頼することを、「相見積もり」と呼びます。
相見積もりで複数社のプランや費用を比較検討すると、大規模修繕の費用を節約できるケースもあります。
また相見積もりしていることを施工会社側に伝えれば、あまりに相場から離れた見積もりを提示されることはないでしょう。
とはいえ、複数の会社に見積もりを依頼するのは面倒だと感じる方も多いはずです。そのような場合は、「複数社に一度に見積もり依頼ができる比較サイト」の利用が便利です。
比較サイトは基本的に無料で利用できます。サイトを通して複数の会社に見積もりを依頼でき、一気に費用を比較検討することができるので手間もかかりません。
信頼できる施工会社を見つけるためにも、複数社の中から選ぶようにしましょう。

■6.大規模修繕費用の注意点
大規模修繕の際は、以下のポイントを押さえておくのがおすすめです。

・追加費用が掛かる場合がある
・同じ戸数でも階数によって費用が変わる

費用を計算する上で、非常に見落としやすいポイントです。特に大規模修繕工事が初めての場合は、事前に把握しておきましょう。
これらの注意点を押さえておけば、「想像以上に費用がかさんで払えない」といったトラブルも避けられます。

■6-1.追加費用が掛かる場合がある
大規模修繕では、当初の見積もりから約5%の追加費用が発生することが多い傾向にあります。そのため、修繕工事には追加費用がつきものと考えておきましょう。
追加費用が発生するのは、施工してからでないと正確な費用が出ない部分があるためです。たとえば外壁タイル工事は最も追加費用の発生しやすい工事とされています。
外壁タイル工事の場合、一般的には全体の3~5%に対して修繕工事が必要と想定された上で見積もりが出されます。
しかし、実際には10~15%に対して工事が必要となることが多いのです。通常、大規模修繕では、完成図面や建物診断をもとに修繕設計が作成され、見積もり数量通りに工事が進められます。
見積もりに記載された数字は「責任数量」と呼ばれ、修繕工事完了後に数量がオーバーしていても追加請求はできません。
しかし外壁タイルに関しては、足場を設置しないと正確な数量が導き出せないため、見積もり段階では想定の数量が記載されます。
そして工事完了後に、実際に使用した数量を追加請求できる仕組みとなっているのです。
追加費用を請求されてから慌てないためにも、予備費を設定しておきましょう。

■6-2.同じ戸数でも階数によって費用が変わる
大規模修繕の費用を計算する際は、戸数だけではなく階層にも注目する必要があります。
たとえば100戸で10階建てのマンションと、100戸で20階建てのマンションでは修繕費用が大きく異なります。
理由としては明確で、階層が高ければ高くなるほど、工事に必要な足場の建設費や部材がかかってしまうからです。さらに、高層階へ部材を運ぶ際にも手間がかかります。
特に高層マンションでは通常の足場が使えないので、通常のマンションよりも費用がかかるケースがあります。
階層の高いマンションは、相場よりも修繕費が高くなってしまう可能性があることをしっかり把握しておきましょう。

■7.適切な大規模修繕工事の費用とは?
大規模修繕工事は、約12年に一度のサイクルで、居住空間をより良く維持するために建物の劣化を補修する工事です。
大規模修繕では、数千万円という高額な費用がかかるので、余裕を持った資金の準備や建物の診断などを計画的に進めていく必要があります。信頼できる施工会社を選び、計画を進めることも重要です。

■8.まとめ

マンションの大規模修繕工事の費用相場と内訳、費用を抑える方法などについて解説してきました。
工事の内容や場所によって、また同じマンションでも階層によっては多めに費用がかかる場合があることが分かりましたが、なるべく費用を安く抑えながら、マンションの維持をしていきましょう。
相栄建総では、無料でお見積もり相談も承っております。ご不明点ございましたらまずは弊社までご連絡下さい。