小田原市のシーリング工事で建物の防水性能を強化 劣化を防ぐ施工のポイント
1. はじめに
小田原市において、分譲マンションの老朽化が深刻な社会問題となりつつあります。2021年時点で市内には約5,400戸（137棟）の分譲マンションが存在し、そのうち約900戸（20棟）が築40年以上となっています。今後も築年数の進行に伴い、建物の劣化や管理不全によるリスクはさらに高まると予測されます。
この状況を踏まえ、小田原市は2023年度より「マンション管理適正化推進計画」を策定・運用し、2020年改正のマンション管理適正化法を背景に、管理水準の向上とトラブル未然防止に努めています。
本記事では、市内マンションの管理実態や抱える課題に加え、管理士が現場でどのように関与し支援を行うべきかを整理します。老朽化や管理体制の脆弱化が進む中、管理士が「今、何をすべきか」を考える一助となれば幸いです。
2. 市内分譲マンションの実態
小田原市のマンションストック状況
小田原市の分譲マンションは、市内各地に広く分布していますが、比較的中小規模の物件が多く、地域によっては老朽化が進行しているものも目立ちます。2023年度の実態調査では、以下の状況が確認されました。
- 単棟型マンションが全体の92.4％を占め、規模が小さい物件が多い
- 階数別では、
- 5階以下（低層マンション）が42.4％
- 6～9階（中層マンション）が22.7％
- 10階以上（高層マンション）が34.8％
- 建物構造別では、
- 鉄筋コンクリート造（RC造）が77.3％
- 鉄筋鉄骨コンクリート造（SRC造）が18.2％
- 鉄骨造（S造）は0％
- 竣工年別では、
- 昭和56年（1981年）～平成2年（1990年）の竣工が36.4％と最多
- 平成3年（1991年）～平成12年（2000年）が24.2％
- 平成13年（2001年）～平成22年（2010年）が16.7％
このように、市内マンションの約6割が築30年以上の物件であり、今後さらなる高経年化が避けられない状況です。特に郊外部では、中小規模の物件が散在しており、組合運営力の低下や空き家化のリスクが懸念されます。
アンケートから見る管理組合の現状
小田原市が実施したアンケート調査（回収率51.6％）では、管理組合の以下の課題が浮き彫りになっています。
- 管理者の選任状況：管理者が未設置の組合も存在し、運営が停滞している
- 管理規約の整備状況：規約が未整備または更新されていない組合が一部ある
- 総会の開催頻度：年1回以上の定期総会が開催されていない組合も見受けられ、意思決定が滞るケースがある
これらの問題は特に中小規模マンションで顕著であり、役員の不足や高齢化といった人的要因が背景にあります。また、自主管理のマンションでは法令遵守や資金管理の不備も報告され、将来的な大規模修繕の遅延や資産価値の低下につながるリスクが懸念されます。
3. 長期修繕計画と資金計画の実態
長期修繕計画の策定状況
2023年度のアンケート結果によると、分譲マンションの「30年以上の長期修繕計画」の策定率は48.5％にとどまっています。全国の同規模都市と比較しても低い水準であり、市の目標である「2030年度までに65％以上」の達成に向けて大きな課題となっています。
特に築30年以上の高経年マンションでは、耐久性や安全性を確保するため、長期的かつ現実的な修繕計画の策定が急務です。しかし、多くの組合では短期（10～20年）の計画に留まり、見直しや更新が十分に進んでいない実態があります。
計画が未策定または不十分な場合、将来の大規模修繕実施が困難となり、住民の生活環境や資産価値の低下につながる恐れがあります。
修繕積立金の計画・運用上の課題
長期修繕計画の不備に加え、修繕積立金の不足も大きな問題です。アンケート調査では、以下の点が指摘されています。
- 国のガイドラインを下回る積立水準
- 将来の修繕費用見積もりにおいて、物価上昇や資材費の高騰を反映できていない場合がある
- 積立金の増額に対する合意形成の難航がある
このような状況では、急な大規模修繕時に一時金徴収や金融機関からの借入に頼らざるを得ず、住民間の負担増やトラブル、修繕工事の延期につながるリスクが高まります。小田原市は、「長期修繕計画と積立金の両面での適正化」を組合に促しており、管理士は現状の診断と見直し提案を通じて、持続可能な資金計画の構築支援が求められます。
4. 顕在化する管理不全リスクと要支援マンション
活動停滞や管理不在の組合の現状
市内では、管理組合が機能不全に陥り「要支援マンション」と認定される物件が増えています。特に以下の特徴を持つマンションが重点支援の対象とされています。
- 定期総会や理事会が複数年にわたり開催されていない
- 理事長や管理者が不在、または機能不全に陥っている
- 長期修繕計画や修繕積立金の整備・更新がなされていない
- 高齢化による役員不足やコミュニティの希薄化
これらの要因が重なることで、建物の維持管理や合意形成が難航し、結果として修繕の遅延、老朽化の進行、さらには法令違反のリスクが高まります。市は今後、管理士など外部の専門家の積極的な介入によって、組合の再生支援や運営体制の見直しを推進する方針です。
管理不全の早期発見と組合運営支援の両面で、より専門的な介入が求められる局面に突入しています。
5. 建物の耐久性向上に向けたシーリング工事の役割
これまでの管理面での課題や老朽化の進行に対して、建物自体の耐久性向上も急務です。その対策のひとつとして、シーリング工事が挙げられます。シーリング工事は、建物の外部から内部への水の侵入を防ぐとともに、気密性を確保し、建物の寿命を延ばすために不可欠な工事です。
シーリング工事が必要な理由
シーリング工事は、外壁と窓枠（サッシ）などの継ぎ目にシーリング材を充填し、防水性および気密性を確実にするための工事です。建物の隙間は雨風や温度変化の影響を受けやすく、時間の経過とともにシーリング材は劣化してひび割れや剥がれが生じます。この劣化を放置すると、以下のような問題が発生します。
シーリング工事を行わない場合のリスク
- 外壁の継ぎ目から雨水が侵入し、内部の鉄筋が腐食する
- 劣化したシーリング材により、防水機能が低下し漏水が発生する
- 建物内部に湿気がこもり、カビの発生や木材の腐食を招く
- 気密性の低下により冷暖房効率が悪化し、光熱費が上昇する
- 外観の劣化により、建物の美観や資産価値が低下する
これらのリスクを回避し、建物の安全性と耐久性を維持するためには、シーリング工事を定期的に実施することが重要です。
シーリング工事とは？他の工事との違い
シーリング工事は、外壁ボードや窓枠（サッシ）などの継ぎ目部分にシーリング材を充填する作業です。シーリング材は弾力性に優れ、建物の微細な動きにも柔軟に対応します。この工事は、塗装や防水工事と併せて行われることが多く、下地補修と組み合わせることで、長期間にわたり建物を安全な状態に保つための重要な補強手段となります。
相栄建総のシーリング工事サービス
相栄建総では、建物の状態に応じた最適なシーリング工事を提供し、高い防水性能を実現しています。
当社の強み
- 最適な材料の選定
シリコン、変成シリコン、ウレタンなど、施工箇所に合わせたシーリング材を使用します。 - 高い施工精度
熟練の職人による丁寧な施工で、耐久性の高い仕上がりを実現します。 - 美観への配慮
建物のデザインに調和する色合いのシーリング材を採用し、外観を損ないません。 - 長期的な耐久性の確保
劣化しにくい施工方法により、長期間にわたる防水性能を維持します。
シーリング工事の費用
シーリング工事の費用は、施工する継ぎ目の長さや使用する材料によって異なります。一般的な相場は1メートルあたり約1,000円～1,500円ですが、建物の規模や施工範囲により変動します。相栄建総では、現地調査を通じて状況を正確に把握し、適正な価格で高品質な施工を提供いたします。
シーリング工事の期間
工事期間は建物の規模や施工箇所の数に依存します。部分的な補修の場合は短期間で完了しますが、建物全体にわたる施工では数週間を要するケースもあります。住民の皆様への影響を最小限に抑えるため、事前にスケジュールを十分に共有し、迅速に施工を進めます。
シーリング工事の周期と回数
一般的には、シーリング工事は10～15年の周期で実施することが推奨されています。劣化が進む前に適切なメンテナンスを行うことで、建物全体の耐久性を長期にわたって維持できます。
シーリング工事の流れ
- 施工箇所の調査
既存のシーリング材の劣化状況を確認し、最適な補修方法を検討します。 - シーリング材の除去と清掃
劣化したシーリング材を除去した後、各継ぎ目の汚れを丁寧に清掃します。 - 新規シーリング材の充填
適切なシーリング材を充填し、表面を均一に仕上げます。 - 仕上げと最終確認
施工後、各部の防水・気密性能を最終確認します。
まずはご相談ください
シーリング工事は、建物の防水性と気密性を確保し、長期にわたる耐久性を維持するために不可欠な工事です。適切な施工により、雨漏りや劣化を防ぎ、快適な住環境の実現に寄与します。相栄建総は、確かな技術と豊富な経験をもとに高品質なシーリング工事を提供しております。調査・診断やお見積もりは無料で対応しておりますので、どうぞお気軽にお問い合わせください。
